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​彷徨から生まれる無限

​きっと若い頃、誰もが通過する、

もしくは経験したであろう小話です。

 

教育課程を卒業し、社会の中で様々な方と出会い、色々な業種にふれる機会を得ました。

業務成績・人間関係・競争心など、社会の壁を乗り越えることが出来なかった20代前半。世の中というものが、非情で厳しく、冷たく、空しく、また生活していく事がどれだけ苦しく辛いものかしか考えられず、自身の甘さ・弱さから目の前が真っ暗になりました。

そこには無と不安だけの日々が約1年続き、生きること自体、彷徨いはじめた時期がありました。

好きな建築家達の写真を拡大してアイドルポスター代わりに部屋に貼ったり、夜が明けるまで建築雑誌を読み漁ったりと、眠る事を忘れるくらい大好きだった建築にも背を向けられた時、すべてを失いました。

入口も出口も見えない世界はとても暗く、夢も希望も見ることさえ出来なくなっていました。

しかし、そんな暗闇のドアを開けて救ってくれたのは版画であり、それを教授いただいた師匠の存在でした。

もちろん制作自体もそう簡単なものではありません。何度も失敗し、私財を投げ捨て、時間を費やし、悔しい思いを何度もしなければなりませんでした。

 

しかし、信じる事のできる何かが見つかった時、隙間から見えたわずかな光は徐々に足元に光を照らしてくれました。その光の先を今も探り、歩ませていただいてるのだなと実感しております。

20代前半で辛い経験したことは、やはり現実であり、その壁を乗り越えねばならないという叱咤激励と愛情であった事。

建築に背を向けられたのではなく、自分が目を逸らし逃げいた事に気づくのは遅すぎたことは言うまでもありません。

 

 

これまでも、そしてきっとこれからも永遠に彷徨しつづけるのでしょうが、ただひと筋の道を信じて歩んで参りたいと思います。

彷徨いに無限の可能性を含んでいる事を知りました。

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